本学は、「短期大学における自立創造力育成プログラム」(平成16年度)と「卒業研究による短期大学専門教養教育の展開」(平成19年度)が「特色GP」(特色ある大学教育支援プログラム)に選定され、「GP」では今回が3回目の選定となります。
「質の高い大学教育推進プログラム」(教育GP)は、文部科学省が推進している事業の
一つで、大学・短期大学・高等専門学校等が実施する「教育の質の向上につながる取り組み」の中から、特に優れたものを選び、支援するとともに、その取り組みについて広く情報提供を行うことを目的としたものです。平成20年度は、全国の大学・短大等から939件の申請があり、148件が選定されました。
(※GPとは「Good Practice」の略で「優れた取組」を意味しています。)
【選定理由】(質の高い大学教育等推進事業委員会)
本取組は、現在の学生に欠けている問題発見・解決能力、論理的思考力、コミュニケーションやプレゼンテーション能力さらには規範意識や倫理性などを身に付けさせたいという視点から、建学の精神に基づいて取り組んだ教育プログラムとして、有意義なものと評価できる。
全学必修の「人間と社会」という授業科目を設け、全教員が参加する「少人数で個別指導を基本としたテュートリアル教育」の形態をとり、演習とは異なる問題解決型の学習を行っていること、特に教員間での意思統一を図るなど、この取組の成功を裏付けるために周到なFD活動が展開されていることは高く評価できる。
ただし、例えばグループ討議のテーマ設定等、本取組の根幹に関わる部分においても、学生の問題意識を取り入れるなど、学生の潜在能力を引き出すことにも留意し、全国の先進事例となるよう進めていただきたい。
【本取組の概要】
本プログラムは、将来、専門職業人として社会に貢献できる人になるために、本学の建学の精神(誠実、研鑽、慈愛、信頼、和睦)や、教育方針(礼を尽くす、場を清める、時を守る)を遵守して健全な学生生活が送れるようにすること、また学生生活や社会事象から問題点を的確に捉え、それを解決する能力を身に付けることを目的とする。
本プログラムのユニットテーマは「人間と社会」とし、社会常識を踏まえた教養のある人間として社会との関わりを学ぶため、テュートリアル教育の形式を取り入れて、全学生は必修としている。
本学は全クラス担任制を採用しており、クラス担任が提示した課題について、学生は自己学習により積極的に調査、研究を行い、その成果を討論、発表をする。クラス担任はテユータとして学生を支援する。
この学習を通して、学生は社会に出た後も、生涯に亘って自己学習できる態度が習慣となることを意図したい。本取組は、平成14年2月に中央教育審議会答申の中で示されたように変化する社会の中で新たな教養教育の構築についての提言に歩を同じくするものである。
また、本短期大学では専門職業人(保育者及び栄養士)養成機関として昭和58年4月に開設以来、常に建学の精神を礎に教育目標の具現化を目指して教育内容・方法の改善に取り組んできた。平成19年7月の大学設置基準の改正によりファカルティ・ディベロップメント(FD)が義務化されたが、本学では平成12年度に教員の教育力向上のため全学的・組織的なFDを導入・開始した。平成12年度には「カリキュラム・プランニング」をテーマに実施し、以後定期的にFDを実施してきている。特に平成14年度には問題発見・解決能力を培うテュートリアル教育について研鑚し、本学独自の教養科目「人間と社会」(卒業必修)に導入したものである。テュートリアル教育の形式を取り入れた「人間と社会」による教養教育の実践と社会の変化に対応できるよう実施されるFDは、本学の学生や教職員に活気をもたらしている。
【テュートリアル教育とは】
少人数で構成された学生のグループにある課題が与えられ,学生がその課題を検討し、思考を重ねながら掘り下げていき,解決していく教育方法をいいます。教員はテューターと呼ばれる、議論を進行させる役に徹します。
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