グリム兄弟とシャルル・ペローの

  赤ずきんの比較について  

    【T.はじめに】    赤ずきんの話は、誰もが一度は聞いたことがあるのではないだろうか。私は、児童文化の授業をきっ   かけとして、再び赤ずきんの話に出会った。しかし、それは有名なグリム兄弟のものではなく、シャル   ル・ペローによる再話のものだった。その時私は、グリム兄弟とシャルル・ペローの赤ずきんの違いに   興味を持った。そこで、グリム兄弟とシャルル・ペローの人物像を踏まえて、両者の赤ずきんの比較に   ついて研究を進めることにした。さらに、今日、グリム兄弟による再話の赤ずきんが浸透している理由   についても考えることにした。     【U.方法】    インターネットにより情報収集を行なうとともに、図書館で文献を借り、それらをもとに調査した。     【V.結果】 1.グリム兄弟について    グリム兄弟として世界で知られているのは、言語学者である兄のヤーコプ・ルートヴィヒ・グリム   (1785〜1863)と、文芸学看である弟のヴィルヘルム・カール・グリム(1786〜1859)   である。1812年『子どもと家庭のメルヒェン集』が出版された。その後、1819年に第二版、1   837年に第三版、1840年に第四版、1843年に第五版、1850年に第六版、1857年に最   終版である、第七版を出版した。 2.シャルル・ペローについて    シャルル・ペロー(1628〜1703)はフランスの詩人である。フランス文学史上では「古今論   争」の現代派として知られているが、童話集の著者として有名である。1697年、『ペローの昔話』   を出版する。ペローはこれを散文で書いたことで多くの人に受け入れられることとなる。またこれは、   子どもを意識して書かれた初めての児童文学であるとも言われている。 3,グリム兄弟の赤ずきん    ペロー版の赤ずきんと比較するために、今回は、グリム童話集の初版を用いた。吉原高志・吉原素子   の編訳による『初版グリム童話集』のP93〜100を引用した。  4.シャルル・ペローの赤ずきん    今野一雄の編訳による『ペローの昔ばなし』のP51〜61を引用した。     【W.考察】 1.グリム兄弟とペローの赤ずきんの比較 (1)結末部分の違いについて    グリム兄弟の初版の赤ずきんの結末は、狼のおなかを切り裂き二人を助け出すというハッピーエンド   なものである。さらに、“こんなはなしもあります”というかたちで、狼に呑み込まれる前に、狼を溺   死させるという結末も書かれている。一方、ペロー版の赤ずきんの結末は、おばあさんも赤ずきんもオ   オカミに呑み込まれたまま、助からないというアンハッピーエンドなものだ。そして、最後に教訓が書   かれている。グリム兄弟とペローの赤ずきんの結末は、幸福と悲劇といった対照的なものとなっている。 (2)家族関係の違いについて    ペロー版では、家族関係について書かれている部分はほんのわずかしかない。しかし、グリム兄弟版   では、以下のような家族関係がみられる。   1)おばあさんの赤ずきんに対する愛情   2)母親のおばあさんに対する責任感   3)赤ずきんのおばあさんに対する愛情 (3)子どもの養育についての考え方について    教育制度の違いから、グリム兄弟版には、母親が赤ずきんに対しておばあさんの家での振舞いについ   て指示をする言葉が記されている。逆に、ペロー版には、母親からの指示的な言葉は記されていない。   また、グリム版には、ペロー版には出てこなかった学校という施設があらわれている。    今日、グリム兄弟の赤ずきんが一般的となっているのも、この話を通して、子どもに学んでもらいた   いと思う、大人の願いがあるからだと考える。 2.絵本「あかずきん」について    「あかずきん」樋口淳・文についての考察をした。      【X.おわりに】    子ども観の変化により、子どもに対する教育が、大人の義務となった。そこで、子どもに分かりやす   く、さらに心に残るように教えていくためには、昔話が有効的だったのではないだろうか。

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